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痔疾患について

 

 肛門にできる病気を総称して「痔」とよびます。特に多いのがイボができる「痔核・脱肛」、切れる「裂肛」、感染して排膿する「肛門周囲膿瘍・痔瘻」があります。他にも肛門が狭くよく裂肛する「肛門狭窄」、かゆみを伴う感染症の「コンジローマ」、直腸が脱出する「直腸脱」、かゆみを伴う湿疹の「肛門周囲湿疹」、皮膚に感染して排膿疼痛がある「膿皮症」などがあります。それぞれに、手術が必要であったり内服や外用薬のみで対応できるものもあります。大切な肛門になるべくメスを入れることがないよう、可能な限りは保存的治療を勧めます。

 

痔核・脱肛

 

 肛門の中にはどなたもクッション状の痔核組織が存在し、本来便が漏れないよう肛門を閉じてくれています。長年の正しくない排便習慣(過度のイキミ)・女性の出産・加齢現象などにより、これらの痔核組織が大きくなったり、つり上げているじん帯がのびることで出血・疼痛・脱出症状がみられるようになります。

 

 一つに痔核脱肛といっても患者さんにより様々で、主に出血や疼痛症状のみであれば外用薬や排便コントロールでほとんどが対応できます。ただし痔核の脱出(脱肛)などでは、じん帯のゆるみによる場合は保存的治療で改善しにくいため、日常生活に影響(自分で手で戻す、常時脱出しているなど)がある場合は手術を勧めます

 

 手術には①痔核組織を切除して吸収糸で半閉鎖する「結紮切除術」、②ジオン®という硬化剤を注入する「ジオン注射による4段階注射法」、③そのそれぞれを組み合わせた「併用療法」があります。皮膚成分である外痔核や、脱出の程度がひどい場合は10%に再発がみられるため注射療法は不向きです。そのため患者さんの痔核に応じた治療を行います。よくテレビなどで痔核組織がたくさんある(痔が何個もある)といって患者さんの不安につけ込むような場面をみることがありますが、本来の痔核組織は便失禁を防いでくれる「大切な痔核組織」なので、すべて手術で取り除く必要もないしそうすると術後排便機能障害の原因となったりします。あくまで「患者さんの症状のもととなっているもののみを治す」ことが大切だと思います。

 

 

痔瘻・肛門周囲膿瘍

 

 

  直腸と肛門の境界には「肛門腺」という分泌液をだすくぼみがあります。個人差や性差もありますが、一般に男性・下痢体質が関係すると言われています。この肛門腺に感染が生じると、肛門括約筋を貫いて様々な痔瘻が発生します。

 

 最も多くシンプルなものが括約筋を浅く貫く「単純痔瘻」で、手術もシンプルで術後疼痛も少ないです。従来は括約筋ごと切開する「切開開放術」が再発率もきわめて低く主流でした。ただし近年ではそれでも括約筋障害が出ると言われているため、括約筋の非常に浅いものは「切開開放術」、深いものには輪ゴムでゆっくりと縛ってゆく「シートン法」や「括約筋温存術」を行います。括約筋温存術は術式の複雑さから、一般的に約1割に再発があるとされますが、当院ではこの1割の再発をさらに低くするためのオリジナル術式を行っています。

 

 稀に瘻孔が多数・枝分かれ・深いなどの「複雑痔瘻」があります。よく他院から紹介されたり、「他院でみてもらって異常ないと言われたけど症状が治らないからきました」と来院され深部に重度の肛門周囲膿瘍があったということがあります。それだけ診断や治療が困難なのだとおもいます。こういった場合も可能な限り括約筋温存につとめ、括約筋障害にならないよう努めています

 

 

裂肛・肛門狭窄

  肛門が切れることを「裂肛」と呼びます。原因は①便(堅い・太い) ②肛門が狭い ③痔核の脱出に伴う(随伴裂肛)とされます。便に原因がある場合は各種の緩下剤や漢方薬と外用薬を用いることでほとんどが治癒します。ただし長期経過した慢性裂肛や、器質的なもの(肛門狭窄や随伴裂肛)の場合は手術となりますがどちらかというと手術になる方が稀です。

 

 手術では、裂肛部分を切除する「切除ドレナージ術」、肛門上皮が狭い場合は上皮を縦に開いて横縫合する「皮膚弁移動術(Skin Sliding Graft法 通称SSG)」、内括約筋肥厚がある場合はそれを切開する「側方内括約筋切開術(Lateral Subcutaneous Internal Sphincterotomy 通称LSIS)」、随伴裂肛の場合は痔核を切除する「結紮切除術」を行います。「広げすぎて術後便が漏れないか」という質問がよくありますが、専門医として「もちろんそうならないように慎重に行っています」と答えています。

 

 

直腸脱

  直腸が肛門から反転して脱出するのを「直腸脱」と呼び、脱出による違和感や出血を伴うためまず手術を勧めます。加齢により骨盤底筋や肛門括約筋が緩むことで生じますが、稀に新生児や若年者(直腸間膜の固定不良が原因)でも発生します。

 

 手術法は多数あり一説では100種類を超えるとされ、逆にそれだけ「これが一番」と言える術式がないためだと思います。

 

 本邦では昔から脱出する直腸粘膜を瘤状に縛りさらに肛門周囲にひもをいれて縛る「Gant-MIWA+Thiersch法」が伝統的に行われてきましたが、海外では評価されず行われていません。術後に便秘の原因になったり、ひもに感染を生じたりするため個人的には殆ど行っていません。

 

 粘膜脱主体のごく軽度のものには、粘膜脱に硬化剤を注入する「ジオン®注射」を行うことがありますが、あくまでジオン注射の適応は直腸脱にないので粘膜脱に限ります。他院で侵襲が低いからと言われて安易にこの注射を行っている施設もあるようですが、保険適応外・すぐに再発する・まれに重度の合併症(死亡例もあります)などにより慎重に行うべきと考えます。

 

  脱出の大きくない(6cm未満)・緊満感のない・他臓器脱(子宮、膀胱、膣など)には脱出してくる直腸の粘膜を切除し、筋層をアコーディオンのように縦方向に縫縮し直す「Rhen-Delorme法」を行います。合併症も術後の排便障害悪化もなくよい手術と考えます。

 

 近年保健適応となった「腹腔鏡下直腸固定術」も再発率がきわめて低く優れた手術ですが、細かい手術内容は施設により様々です。経験のない施設が行って術後すぐに再発しているのも散見します。個人的にはメッシュなどの異物を残さない社会保険中央大腸肛門病センターの術式にオリジナルの部位を加えた方法で行っています。年齢制限も設けていないため90歳代の方でも全身麻酔が可能であれば行っています。腹腔鏡により非常に細かい手術が可能なため術後の合併症も今のところ経験がなく、平成27年の日本大腸肛門病学会のシンポジウムで成績を報告しています。

 

 

 

 

直腸脱の手術動画ですが、苦手な方はクリックしないで下さい

(左がDelorme手術、右が直腸固定術)